今期から720ml瓶と300ml瓶のほとんどが一升瓶と同じ瓶口になります。
「なぜ変えるの?」とよく聞かれます。
確かに今までのネジ切りアルミキャップは取り扱いが楽なのはよいのですが、何だか安っぽい感じがして。
高級酒にはもう少し雰囲気のある瓶を、とずっと探していました。瓶の製造メーカーさんが来る度に何度も要望を伝えたのですが、当蔵だけの声では通るはずもありません。
今回選択した1.8L瓶と同じ瓶口がベストというわけではありませんが、他に良いのが見つからず、結局この瓶に収まりました。
冠頭の金色を工夫したり、上面をエンボス加工したりして、結構カッコよくしたつもりですが、でもこの瓶、欠点もあります。
まず、瓶口のガラスが厚いのでお酒の切れが悪い。慣れないと注いだときポタポタと滴が落ちます。
そして重い。重量感たっぷりです。
それから、何と言っても高い!! 高価格の商品ならまだ吸収もできますが、結構痛い価格です。
利便性や効率、コストを優先するとこの瓶の選択はないかもしれませんが、大信州では敢えて切り替えることにしました。
お酒の雫が落ちるのは、日本手ぬぐいを添えてサービスすれば解決です。ワインではテーブルナプキンを添えるのは当たり前。大信州には商売繁盛の開運オリジナル手ぬぐいがあるので、これ、持ってこい。
瓶が重いのは、両手を添えて注げば解決。
酒道に立ち返ってもう一度美しいお酒の注ぎ方を身に付け直せば、さらに美味しくなります。
瓶の価格が高いのは、大信州が環境整備を徹底して、その分を捻くり出します。まだまだムダはいっぱいあるはずです。当蔵の勝手で瓶変更したので、決してお客様にはシワ寄せしません。
造り手側の勝手な思いですが、日本酒は本質的な価値相当の価格や評価になっていないような気がしています。
昔から余りに日常的で身近すぎたり、紙パックやペットボトルなどの簡易性や効率が優先され過ぎたり、超低価格な酒と普通のお酒が、価格に大きな違いがあるのに同じグレードで売られていたりするので無理もありませんが。
日本酒の価値を高めていくには良い環境とは言えませんが、その環境にしたのも我々です。結局、我々が価値を創作できていないということにつきます。
お酒が真っ当な価値、価格で評価され、お客様と日本酒の両方に大きな付加価値が生まれるよう、何かできることからしていこうと思います。
その一つが今回の瓶の変更でした。どうか見かけたらご贔屓下さい。
大信州酒造の最高級酒「香月 古今天恵美酒 平成22酒造年度(2010年)」
ビンテージチャートの平成22酒造年度で20,000円/720ml。平成13酒造年度で50,000円/720mlです。
(田中 隆一)